概略の概略
大まかにいうと、土壌汚染のおそれがある一定の場合に(3条、4条、5条)、土地の所有者等には、「指定調査機関」(29条~43条)に委託して、「土壌汚染状況調査」(2条2項)を行う義務が生じる。法的な義務がない場合に、所有者等が自主的に調査を行う場合もある(14条)。
これらの「土壌汚染状況調査」等は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の調査を行うものである(2条2項参照)。「特定有害物質」とは、鉛、砒素など「土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるもの」として政令が定めるものである。
かかる調査の結果、汚染状態が環境省令で定める基準に適合しない場合には、都道府県知事は、要措置区域の指定(6条)か形質変更時届出区域(11条)の指定を行う。前者と後者とでは、上記環境省令基準に適合してない点において共通しているが、前者の「要措置区域」の指定は、さらに、汚染により「人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがある」ものとして政令で定める基準に該当することを要件とするものであるから、汚染の程度が重いと言える。汚染の除去等によって、指定事由を満たさなくなった場合には、都道府県知事により指定解除がなされる(要措置区域の解除につき6条4項、形質変更時届出区域の解除につき11条2項)。
要措置区域については、汚染の除去等の措置が必要となる(7条)。形質変更時届出区域については、土地の形質を変更しようとするときに届出義務が課され、変更の施工方法等が環境省令で定める基準に適合しているか否かが審査される。
また、要措置区域又は形質変更時要届出区域内の(汚染)土壌の搬出等に関する規制として、届出義務や、汚染土壌処理業者への処理の委託義務、管理票等について規制がなされ、汚染土壌の拡大防止が図られている。
沿革
土壌汚染対策法は、平成14年(2002年)に成立し、平成15年(2003年)2月15日に施行された。その後、幾たびか改正されている。この記事記載の直近の改正は、平成26年(2014年)改正法であり、平成27年(2015年)4月1日から同改正法が施行されている。
目的
土壌汚染対策法は、「土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置」及び「その汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること」等により、「土壌汚染対策の実施を図り」、「もって国民の健康を保護することを目的とする。」(法1条)
すなわち、国民の健康保護を究極の目的として、土壌汚染対策の実施として、(1)土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置と(2)その汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を行うものとされている。
これら2つの措置の具体的内容が、法2条以下において定められていると言える。
なお、上記「特定有害物質」とは何かについては、法2条に定義がある。
「特定有害物質」とは(定義)
「特定有害物質」とは、いわゆる有害物質のうち、法により「特定」されたものである。
法2条は、「特定有害物質」とは、「鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれのあるものとして政令で定めるものをいう。」と定義している。
政令として、土壌汚染対策法施行令が定められており、その1条で「特定有害物質」が具体的に列挙されている。
「土壌汚染状況調査」と自主調査
法が定める一定の場合(3条、4条及び5条)、特定有害物質による汚染の状況の調査を行う必要がある。これを「土壌汚染状況調査」という(2条2項)。
土壌汚染状況調査の方法は、環境省令により定められている。また、同調査は、「指定調査機関」が行うことになっている。
【3条】
使用が廃止された有害物質使用特定施設(水質汚濁防止法2条2項の「特定施設」)に係る工場及び事業所の敷地で会った土地の所有者、管理者及び占有者(「所有者等」という。)が、一定の場合に、土壌汚染状況調査を行うものとされている。
【4条】
土地の掘削その他の土地の形質の変更であって、その対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上(3000㎡以上)のものをしようとする者は、環境省令で定めるところにより都道府県知事に届出のが原則である(4条1項)。その上で、都道府県知事は、「当該土地が特定有害物質によって汚染されているものとして環境省令で定める基準に該当すると認めるとき」に、環境省令で定めるところにより、当該土地の所有者等(所有者、管理者及び占有者)に対し、土壌汚染状況調査を命ずることができる。
【5条】
都道県知事は、土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当する土地があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該土地の所有者等(所有者、管理者及び占有者)に対し、土壌汚染状況調査を命ずることができる。
【自主調査(14条)】
法が定める一定の場合(3条、4条、5条)のほかにも、土地の所有者等(所有者、管理者及び占有者)は、自主調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が6条1項1号の環境省令で定める基準に適合しないと思料するときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、要措置区域(6条)又は形質変更時要届出区域(11条)の指定を申請できる。
要措置区域(6条)
要措置区域は、「その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該汚染による人の健康に係る被害を防止するため当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置(『汚染の除去等の措置』)を講ずる必要な区域として指定される。都道府県知事が、指定する。
具体的な要件としては、(1)「土壌汚染調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないこと」、かつ(2)「土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当すること。」の2つを満たす場合である。
上記(2)の要件により、「人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがある」区域であるから、汚染の程度が重大であると言える。
なお、都道府県知事は、「汚染の除去等の措置」により、要措置区域の事由がなくなったときは、指定解除を行う(但し、「形質変更時届出区域」(11条)の要件を満たすのであれば、同区域に指定されることになる。)。
形質変更時要届出区域(11条)
都道府県知事が指定する。指定されると、当該土地の形式を変更をしようとするときに届出をしなければならなくなる。
具体的な指定要件としては、(1)「土壌汚染調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないこと」に該当する場合であって、(2)「土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準」に該当しない場合である。
要措置区域(6条)の場合とは異なり、「人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがある」とまでは認められない場合である。
土壌の特定有害物質による汚染の除去により、指定事由がなくなったときは、都道府県知事が解除する。
土壌汚染の搬出規制
16条~28条において、土壌汚染の搬出規制が定められている。
すなわち、土壌汚染の搬出時の届出(16条)、運搬基準(17条)、汚染土壌処理業者に対する汚染土壌の委託義務(18条)、管理票(20条)、及び汚染土壌処理業者への規制(22条~28条)などが定められている。
以上